起業するときの指針、もしくは反面教師になる内容が見つかる本
ITベンチャーとして成功したベースキャンプ(旧37シグナルズ)の創業者と開発者が、自分たちの経験から「これがよかった」的なことを格言っぽくまとめてくれてる本です。個人事業主としてWEB屋をしている私としては、個人に毛の生えたくらいの小さな組織が世界に通用する仕事をする、という点だけでも気になって仕方がない本です。さらに私の興味を惹いたのは、この会社の開発者というのが、あのDHHだということです。
DHHというプロレス技みたいな単語が飛び出してきましたが、デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン(DHH)というデンマーク出身のプログラマです。DHHは知らなくてもRuby on Rails(ルビーオンレイルズ)は耳にしたことがあるんじゃないでしょうか?そのRuby on Railsを作った人がDHHです。
小さなIT組織が何に気を付けて事業を進めていたのか?しかもその組織はDHHが在籍している。そうなると、私の中での読まないという選択肢が消滅しました。
通勤時間にパラパラ読めるボリュームの格言集
本書の構成はいたってシンプル。バーンとお題目が来て、そのお題目に沿って3~4ページの事例紹介や解説が入るという流れ。通勤電車に揺られてる時間や、朝のトイレ(大)の時間なんかに細切れで読むことができます。中でも私が参考になるなー、と思ったのは次の4つ。
・あなたに必要なものを作る
・制約を受け入れる
・長すぎるTo-Doリストは終わることがない
・邪魔が入る環境では生産性は上がらない
それぞれ、何が響いたのかを簡単にまとめてみます。
あなたに必要なものを作る
自分にとって、もしくは「この人のためになんとかしてあげたい」と思える人にとって必要なものを作る。それがサービスの根幹にあると強いな、と思います。「最高のWEBサービスを作ってやるぜ!」と鼻息荒く始めても、誰のための何の役に立つのかわからないものは不要の烙印を押されるだけですからね。もちろん単純に自分が欲しいと思ったものが、世の中の需要にどれくらい合致してるかをチェックすることも大切です。とはいえ、自分が不便で不便でなんとかしたいことだったら、ある程度ニッチな内容でもビジネスにつなげるチャンスはあるんじゃないかと思います。どうせ売れるかどうかわかんないんだから、自分が必要だと思うものを作るというのは動機付けとしても良い気がします。
制約を受け入れる
起業するにしても、転職するにしても、今の環境で働き続けるにしても、必ず何かしらの制約はあります。サラリーマンが起業する、となると「お金が無い」「人脈が無い」「ノウハウが無い」というナイナイ地獄みたいな状態にいる錯覚に囚われてしまいがち。でも「無いのが当たり前、で、どうする?」という風に切り替えれるかどうかが重要なのかなぁと思います。今ある制約の中で、いかに収益を上げていくか?ということを楽しんでみるのもいいんじゃないかなと。人生ハードモードで進むと、ノーマルモードで過ごした人に比べて、10年経ったときの経験値に大きな差が出てると感じますよ。
長すぎるTo-Doリストは終わることがない
To-Doリストって油断するとすぐに長くなって、その日のうちに終わらない量になっちゃいますよね。これは誰もが経験する「To-Doリストあるある」なんじゃないかと思います。私もそうです。本当に重要で今日中に絶対にやっておかなきゃいけないことって、実際は1つか2つなんですよね。優先度の高い仕事と雑務をごちゃ混ぜに書いてしまってるのが、私のTo-Doリスト運用失敗の原因なのかなぁと思いました。To-Doリストと備忘録を分けていくことにします。
邪魔が入る環境では生産性は上がらない
プログラミングに集中しているときに電話が入ってきたり、LINE通知がなったりで、何かしら対応をしていると生産性がガタ落ちしてしまう。そんなことが続いていました。電話かけてくれるのも、LINEで問い合わせてくれるのも、相手からすると大事な用事だったりするんですよね。だからスルーするわけにもいかない。でも一旦集中力が途切れたら、また集中するのに時間がかかってしまいます。そんなことに悶々としていたときに読んだので、ものすごく印象に残った節です。そして、これを読んだ次の日から「午前中は電話に出ない、LINEも見ない」宣言をして、プログラミングに集中するようにしました。ストレスも軽減され、仕事もスムーズに進むようになった気がします。
私の場合はこれらの4つが刺さった訳ですが、読み手によって、読むタイミングによってグッとくる部分は変わってくるんじゃないかな。そんな本です。ITのスタートアップの会社が舞台になっているので、IT関連の仕事の人にしか役立たないように見えます。が、小さい組織でスタートアップするのであれば、参考になる点は少なくないんじゃないかなと私は思います。目次をチェックしてみて、気になるトピックが多かったら手に取ってみてください。
小さなチーム、大きな仕事――働き方の新スタンダード
小さなチームが大きな仕事を成し遂げると、稼ぎの割合が半端なくなる。
文庫: 263ページ
出版社: 早川書房 (2016/12/8)
言語: 日本語
ISBN-10: 4150504814
ISBN-13: 978-4150504816
発売日: 2016/12/8
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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