なぜ、この本を買ったのか?
技術系の本を買うときは、仕事に必要になったからという理由で買うことが多いのですが、この本に関しては違います。ロマンを買いました。実は私は8年前くらいから「文章作成を自動化したい」という野望を抱いております。イメージとしては、私のブログを読んでくれている友人から「前の○○の記事、すごくおもしろかったです!」と言われたときに、「あっ、あれはAIライターが書いてくれたやつだよ。ハハハ。」と返したい。そんな感じです。
今思えば、プログラミングを始めたのも、WEBの仕事で使えるという理由より、「文章作成自動化したい」という欲望の方が強かったからです。そんな私がこの本を読んで、至った結論は「当分の間は、自分で書くしかないなぁ」ということです。今、盛んにもてはやされているビッグデータやディープラーニングは、基本的に
【大量の文章を解析→文章の特徴量を抽出→ビジネスなどに生かす】
という流れです。
私がやりたいのは、
【「〇〇というテーマについて書き、こういう読者層に、こういう気持ちになってもらいたい」という条件を入力→イイ感じの文章ができあがる】
という流れですが、現状ではちょっと難しそうです。文章作成自動化についてゴニョゴニョやってる間に自分で書いた方が早かったりします。お金出してライターさんに依頼すれば、自分の時間は全くかかりませんし。(人間スゲー)
ま、そんな感じで夢破れたわけですが、とても有益な本だということに違いはありません。どんな本なのかを簡単に紹介しておきます。
第一線で活躍するゴリゴリの技術者が懇切丁寧に説明してくれる本
自然言語処理という分野が文系と理系にまたがっているからか、市販されている本は「技術的な詳細はよくわかんないけど、自然言語処理は、とにかくヤベー」という本か「プログラムや数式がいっぱい書いてあって、理解するのが厳しい」という本に二分されているような気がします。両極端。
その点で言うと、この本は技術者が誰にでもわかりやすくなるように書いてくれていて読みやすかったです。プログラミングとか数学とかよくわかんなくても、自然言語処理をビジネスにどのように生かせばいいのか?また、既に今使っているサービスにどのように自然言語処理が活用されているのか?を知ることができます。自然言語処理の特性や、それをどう生かすかを検討する立場にいるのであれば、非常にオススメできる本です。
「世界知識」と呼ばれる常識の壁には、なるほどと唸った
人工知能が抱えている課題と似てくるのですが、自然言語処理でも常識の壁がネックになるようです。「試しに」といってはなんですが、コンピューターを混乱させるためだけに、意地悪な文章を考えてみました。
「会社から帰って、広島と巨人のナイターを見ながら、進撃の巨人の最新刊を読んだ。首位を独走するカープに比べて、連敗続きでヤバイジャイアンツ。テレビから目を離せないが、電子書籍版で買った最新刊も非常に面白く、次々と明かされる巨人の秘密が神展開でヤバイ。」
ま、人間が読んでもわかりづらい文章です。コンピューターがこの文章を解析しようとしたら、少なくとも「広島=カープ」「巨人=ジャイアンツ」「広島と巨人はプロ野球の球団でペナントレースで競い合っている」「一つ目のヤバイと二つ目のヤバイは意味が逆」「読売巨人軍の巨人と進撃の巨人の巨人は別」ということを認識しておく必要があります。なかなかに厳しそうですね。
自然言語処理の基本と技術 (仕組みが見えるゼロからわかる)
テクニカルな事を知らなくても、自然言語処理の技術的背景について思いを馳せることができる良書です。
単行本(ソフトカバー): 240ページ
出版社: 翔泳社 (2016/3/5)
言語: 日本語
ISBN-10: 479812852X
ISBN-13: 978-4798128528
発売日: 2016/3/5
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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