創業者が居なくなっても成長を続けるリクルートの秘密
社内で鍛え上げられて、独立して羽ばたいていく。そんな人材がすごく多い。リクルートに対する私の印象は、そういった感じ。それとビジネスに対してのエゲつないほどの徹底っぷり。ただ、不勉強なことにリクルートの創業者が誰だか知りませんでした。創業者不在でも成長する組織文化は、いかにして作られたのか?ということに興味が湧いたので、創業者の伝記みたいな本が出たということで、買ってみました。
新聞は下から読め
創業者である江副浩正氏が初めに携わったビジネスが東京大学新聞。大学生、下宿、熱気といったキーワードからもわかる通り、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグのハーバード大学時代と似たようなものを感じました。東京大学新聞時代に勢いのある企業を知るための金言として先輩が教えてくれた「新聞は下から読め」というフレーズは今でも通じる気がします。時代ごとに景気のいい会社・業種などは代わっていきますが、その勢いのある所を知るためにはスポンサーを見ればいいということです。
例えば、テレビCMであればスマホアプリやスマホゲームのCMが圧倒的な存在感を示しています。テレビCMでも多いですが、新聞の下の方を見るとサプリメント広告だらけです。健康寿命を延ばしたいという団塊の世代をターゲットにしたものが勢いがあることがわかります。「新聞は下から読め」は、ビジネスチャンスを見つける際の指標として生かせそうです。
モーレツな成果を出す起業家に共通するサイコパス気質
ビジネス書などでよく言われていますし、私が見てきた中でも「そうだなぁ」と思える所なんですが、ズバ抜けた成果を残す起業家って「チャンスを最優先してて、リソースは二の次」みたいな所があります。
ソフトバンクの孫正義氏が創業初日、アルバイト社員を前に、みかん箱の上に立って「わが社は5年以内に100億円、10年で500億円、いずれ1兆円企業になる」と迷いも無く宣言したエピソードなんかもそうですね。私のような凡人は「それを実現させるための人・モノ・金はどうする?」みたいな発想に目が行ってしまいがちです。しかし、クレイジー経営者は「そんなの後からどうにでもなる。とりあえず今目の前にあるチャンスに飛び込め!」みたいな発想が根底にある気がします。
リスク管理などはしっかりされていると思いますが、どこかしら目的のために手段を選ばない。そんなサイコパス気質ともいえる特徴を持ってたりします。月刊誌としてやっと軌道に乗った「住宅情報」をサラッと「週刊誌にしたいんだ」と言ってしまってるあたり、江副浩正氏もなかなかクレイジーです。
尖り過ぎた感覚と栄枯盛衰
時代の寵児としてもてはやされ、次々と事業展開していった江副浩正氏は、ITバブル時代のホリエモンと重なる所が多いです。最終的に東京地検特捜部に追いつめられるあたりもそっくり。出る杭は打たれるみたいなところがあるのかな。ただ、善悪の判断については、本書の中で「事件は検察によって作られ、マスコミによって広められる」と語られてる通り、「アイツが悪だ」ありきで動いてる部分が往々にしてありそうな感じもしたり。
私自身は、というと時代の寵児と言われるような器ではない、凡庸な人間です。それでも、うまくいってる時こそ調子に乗り過ぎず、謙虚に生きていったほうが良さそうだなぁと思わされました。
500ページ近くある大ボリュームの本でしたが、色々と得るものが多かったです。
江副浩正
単行本: 496ページ
出版社: 日経BP社 (2017/12/19)
言語: 日本語
ISBN-10: 4822258688
ISBN-13: 978-4822258689
発売日: 2017/12/19
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